恵那市、市民からの問い合わせ対応管理をデジタル化[ニュース]

恵那市、市民からの問い合わせ対応管理をデジタル化[ニュース]

岐阜県恵那市は株式会社Zendesk(本社:東京都中央区、代表取締役:Amy Foo)が提供するクラウドベースのカスタマーサービスソフトウェアを活用し、市民から寄せられる意見や要望、提案への対応を一元管理する仕組みをデジタル化する。Zendeskの活用により効率的なタスク管理・進行管理、庁内でのスムーズな情報共有が可能となり、市民エクスペリエンスの改善も可能だ。

導入検討の背景】
恵那市では、2019年に策定した「ICT活用推進計画」に基づき、さまざまな取り組みを進める中、業務のデジタル化、データベース化に課題を抱えていた。

恵那市には、電話やメール、市のWebサイト、広報直通便はがき、恵那市公式アプリなど複数のチャネル経由で年間約300件にのぼる市民の声が届く。従来は、それらを総務課広報広聴係でいったんExcelにまとめて担当課にメールで問い合わせ、担当課でExcelに回答を記入し返信、広報広聴係から市民に回答するという流れで個別対応を行っていた。

Excelを使った個別対応では、手入力による手間が発生するほか、担当課にすぐに確認が取れないこともあり、市民への回答までに時間がかかっていた。また、対応の進捗状況を把握しにくく、回答の抜け漏れが生じることもあったという。そこで、恵那市ではタスク管理のできるソフトウェアの検討を進めていた。

導入の効果】
恵那市は、Zendeskであればタスク管理や進行管理はもちろん、関係者による迅速な情報共有が可能な環境を整えられると判断し、導入を決定。

Zendesk導入後は、広報広聴係に寄せられる市民の声はすべてZendeskに集約。内容に応じて担当課に振り分け、最終的に広報広聴係が市民に回答するまでのプロセスをすべてZendesk上で一元管理が可能となった。

具体的な効果は以下の通り。

・市民エクスペリエンスの改善
リアルタイムに関係者と情報共有できることで、回答までの時間を短縮、回答の精度が向上。また、進捗状況から時間を要すると判断した場合は、回答が遅れる理由を市民へ伝えておくなど先回りした対応を行い、市民エクスペリエンスの改善に繋げている。

・ライトエージェント機能(​https://zdsk.co/3mmAxT9) や Slack連携によるスムーズな情報連携
Zendeskアカウントを持たない市長や部長級管理職もZendesk上の情報を閲覧できる設定に。また、すでに庁内コミュニケーションツールとして導入していたSlackとZendeskの連携により、チケット*化された市民の声をSlack上でいち早く確認できる仕組みも実現。関係者から対応に関する具体的な指示や指摘もすぐに届くようになった。

*チケットとは
問い合わせを「チケット」として、一元管理できる。サポート記録はチケット番号で管理されるため、問い合わせチャネルが異なっても一貫したサポートを行えるほか、サポートの経過を残したり、追跡システムとして利用できる、といったメリットがある。

・問い合わせ対応のタスク管理・進行管理の効率化
今どこの誰からどんな意見や要望が届いていて、どの課の誰が対応中なのか、市民への回答は済んだのかをリアルタイムに把握できるため、無駄な確認作業を削減。対応の抜け漏れも無くなっている。

・リスク管理の強化
充実した検索機能により、Zendesk上に蓄積された過去の対応履歴の中から必要な情報を簡単に確認できる。たとえば、苦情を繰り返す市民への対応履歴を認識し、課を超えて庁内で共有していれば、初めて対応する担当者でも前もって準備し、より慎重に対応することができる。

今後の展望】
Zendesk導入から一年が経過した今、恵那市では市民から寄せられる意見や要望、提案を分類した上で庁内で情報を共有し、市の方針に基づいて適切に回答することに成功している。この実績を受け、災害時のヘルプデスクとしての役割もZendeskに期待を持っている。これまで恵那市では、災害が発生すると市民からの問い合わせ対応用にコールセンターを立ち上げ回答すると同時に、オペレーターが問い合わせの内容をデータベースに手入力していた。この業務にZendeskを活用すれば、市民からの問い合わせが自動的にチケット化されるだけでなく一元的に可視化されるため、コールセンターを立ち上げることなく、迅速かつ効率的な対応が可能となる。

また、Zendeskを活用することで、今まで個別に処理され、共有されていなかったような何気ない市民の声や今後の市政運営において改善のヒントとなる内容も全て、市政に関わる全員が把握できるようになったとのこと。恵那市では今後、Zendesk上に蓄積されているそのような貴重な情報を、市政運営の改善のため最大限に活用していく予定だとしている。

(執筆:デジタル行政 編集部 大野 裕貴)