現場業務に直接活用するための知識・スキルを習得する「KaWaL e-Learning」-自治体DX推進の支援-[インタビュー]

現場業務に直接活用するための知識・スキルを習得する「KaWaL e-Learning」-自治体DX推進の支援-[インタビュー]

株式会社チェンジは様々な人財育成サービスを提供するなか、自治体に対して、DXを推進するための「KaWaL e-Learning」や研修を提供している。 KaWaLは、現場業務に直接活用するための知識・スキルを習得する学習ソリューションで、自治体向けのコンテンツはDXを推進するために必要な知識やスキルを習得する内容となっている。本商品の特徴や行政・自治体DXの現在について、株式会社チェンジの小川泉氏と酒井悠真氏に話を聞いた。

(聞き手:デジタル行政 編集部 柏 海)
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※写真左から役職等は下記の通り
株式会社チェンジ
小川 泉 New-IT(DX支援・ITサービス)事業部 シニアコンサルタント
酒井 悠真 NLX(人材育成)事業部 アソシエイトコンサルタント

チェンジグループとして幅広い分野で自治体を支援

―株式会社チェンジ(以下チェンジ社)とはどのような会社なのでしょうか。

小川氏 創業は外資系コンサルティング会社出身者により2003年に設立され、研修事業やコンサルティング事業を展開してきました。

新入社員から中堅社員、マネジメント層に至るまで、幅広い階層のビジネスパーソンを対象に研修を実施するとともに、ITを通じた課題解決やコンサルティングにも取り組んでまいりました。2018年からはトラストバンク社を買収したことをきっかけとして、地方創生という観点から、プラットフォームやパブリテック事業など、自治体向けサービスも幅広く提供しています。

2023年からは持株会社制へと移行

自治体DX推進に必要な「マインド」と「スキル」を学べるコンテンツを提供

―「KaWaL」とはどのようなサービスですか。

酒井氏 KaWaLは、「行動がカワル」をコンセプトに、現場業務に直接活用できる知識・スキルの習得を目指したeラーニングです。その中でも自治体職員向けには、自治体DX推進の考え方や既存業務の改革(BPR)などをテーマとした「マインド」と「スキル」双方の変革を促す6コンテンツ(コンテンツ数は取材時点)を提供しております。 1チャプターは30~1時間を中心に構成されているため、マイクロラーニング形式による短い時間での学習が可能となっております。

また、学んだ内容についてはワークシートを通じて復習や習熟度の確認が出来るだけでなく、管理者が成績の管理をするための機能も充実させており、個人カルテの作成・出力や受講者一覧の確認なども容易となっております。

―自治体向け職員に対して、DX推進人財に特化したパッケージを展開するに至った理由は。

小川氏 自治体におけるDX推進人財の育成や体制づくりは、昨今の悩みとして自治体から多く挙がっています。

政府の方針やコロナ感染拡大等の外部要因や人口減少に伴う自治体職員の減少傾向が影響しています。このように、制約とニーズがともに増加・多様化する状況においては、職員一人ひとりが「DXとは何か」を理解し、デジタルを使える・活かせる人財とならなければなりません。

実績として、当社は汎用的なビジネススキル(OSスキル)を高める人財育成サービス、またグループ会社はDXにおける人財育成サービスの提供が豊富です。自治体を支援する中で感じたDX推進の危機感に対し、こうした実績に基づくグループのノウハウ・知見を活かしてご支援することが可能と考え、本サービスを提供するに至りました。

―民間向けのeラーニングコンテンツと比較し、本サービスの提供において特に意識したポイントや変更点などはございますか。

酒井氏 非営利の行政(自治体)では、営利の民間と比較してDXやBPRの根本の考え方に大きな違いは無いですが、内部調整や業務の変革などの難しさ、あるいはそもそもの業務の進め方などは異なります。そうした自治体ならではの仕組みに合わせてコンテンツを開発したことが大きなポイントになります。

小川氏 実際に受講をいただいた自治体からも、特に「自分たちがなぜDX化をしなければならないか」「自分たちがDXを通じてどのような業務を変えていくか」という点を意識しながら学習しているというコメントをいただいています。

またeラーニングを通じた学習も大事ですが、当社としては「自治体DX推進教育パッケージ」として、ワークショップも合わせて提供しております。本ワークショップでは、普段仕事をしているメンバーと一緒にアウトプットすると共に、次のアクションにつなげられるような提案をしており、こちらも非常に好評いただいております。

「自治体DX推進教育パッケージ」の概要

「業務改善」には長期的な視点が必要

―人財不足は官民に関係なく共通する大きな課題かと存じますが、自治体では特にどのような人財が不足しているのでしょうか。

小川氏 自治体には限らないかもしれませんが、業務の全体や目的を正しく捉え、AIや新しい技術を手段に業務の変革を担うことのできる人財が不足していると考えております。

特に、長年続いてきた行政・自治体の仕事や体制に対して、本当に今のままでも良いのか、疑問を持つことが出来る視点が大事です。またその際は、短期的な損得を考えるのではなく、長い目で自分たちの業務効率や市民サービスがどう変わっていくか考えていくことが大事になって来ていると、日々の支援のなかで感じております。

酒井氏 デジタル化を自治体内で進めていくにあたっては、いわゆる旗振り役も大事です。長年当たり前だった業務の仕方はやはり一筋縄では変えられないため、DXの必要性を理解し、周囲を巻き込みながら取組を主導する存在が大きな意味をもちます。

実際に、首長や課長級、あるいはDX推進員といった存在が主導してDXの取組を進める姿勢を打ち出している自治体では、他の自治体と比べてDXが大きく進んでいるケースも多く見られます。

また、自治体DXの進み方としては全体で一気に進めていくのではなく、特定の部署で取り組んだ成功事例をもとに横展開を進めたい需要も高いので、そういった横展開をうまく主導し周りを巻き込んでいくことのできる人財も今後は求められていくのではないでしょうか。

―行政や自治体ではどのようにDXが進んでいくのでしょうか。また、DX化の進行に合わせて、どのような課題が発生するとお考えでしょうか。

小川氏 現在、近隣の市区町村同士が協力・協調する広域連携も進み、市民サービスの相互利用・事業の共同実施の過程では、自治体が保有するデータの効率的な活用も進んでいます。また、各自治体がDXに取り組むなか、国からもシステムの標準化やマイナンバーカードの活用なども推し進められております。その結果、今後は更に産官学でのデータ連携や情報の利活用も進んでいくと思われます。

そのDXの過程では、個人情報を含む情報の取り扱い方法だけでなく、情報セキュリティの在り方なども論点や壁になっていくかと想定しております。当社ではグループ会社内にサイバーセキュリティに特化した会社もございますので、コンサルティングや研修事業等に限らず、情報管理も手厚くサポートしていきたいと考えております。

チェンジホールディングス全体で自治体を支援

―貴社では「KaWaL」をはじめ、今後どのようなサービスや価値を提供いきたいとお考えでしょうか。

酒井氏 当社ではグループ会社も含め様々なアプローチでDX支援をしておりますので、「そもそも何から手を付けて良いかも分からない」といった、具体的な課題や解決策・施策のイメージが持てていなくとも、まずはご相談をいただければ、我々としては非常に嬉しく存じます。

対話を通じて一緒に解決策や施策を考え、eラーニングや研修事業だけでなく、コンサルティングも含めて、グループ全体で継続的に伴走型の支援をさせていただきたく思います。

小川氏 酒井のコメントにもありましたが、一緒に考えて提案をさせていただくだけでなく、実行=アクションにまで持っていけるのが我々の一番の強みかと思います。

また、例えばKaWaLの提供だけでも、研修ソフトを提供するだけでなく、どういった人財を育てたいのか、またその自治体に必要な人財はどういった人なのかを踏まえたうえで、ご提供をさせていただいておりますので、自治体の皆さまに寄り添ったサービスを今後とも提供していければと思います。