越境ECを活用し、地域経済活性の第3の柱へ[インタビュー]

越境ECを活用し、地域経済活性の第3の柱へ[インタビュー]

コロナ禍で人々の国境を越えた行き来が途絶えたことで、インバウンド需要は大きく減少、これを受けて地域の観光産業は大きな打撃を受けたことはあえて言うまでもない。
そのようななか、着実に成長をし続けてきたのが越境ECである。

越境ECをワンストップで請け負っているインタセクト・コミュニケーションズは、主に地域の名産品を販売する企業を対象とする中国向け越境EC支援サービスにおいて、ライブコマースを導入して、地域経済の活性化を進めている。

地域経済が、越境ECを使って活性化を図った事例について、同社東京本社 ECビジネス本部 WEB事業推進部 部長 片倉 一志氏、東京本社 海外広告推進グループ 越境EC推進室 王 超氏にお話を伺った。

(Sponsored by インタセクト・コミュニケーションズ)


―会社の事業概要についてお願いします

片倉氏:弊社インタセクト・コミュニケーションズ株式会社は、広告代理事業として、国内企業様に対する成果報酬型広告による支援ならびに、大手SIer向けのシステム開発支援、そしてQRコード決済の国内、中国、東南アジア向け導入支援を行っている会社です。

2019年まではインバウンドの集客支援を行ってまいりましたが、コロナ禍で海外からは人の渡航ができなくなったため、海外のお客様にモノを通じての日本のことを知ってもらい、その後また日本に来ていただけるようになったときを見越して、自治体や金融機関などと連携を図り、越境ECサービスを2020年12月に立ち上げて、提供を開始しました。

今ではようやく、中国からもお客様が戻りつつあり、これからは旅マエ・旅ナカ・旅アトを網羅することで、海外向けに商品を販売するお客様の総合支援を行っていきたいと考えております。

王氏:はじめまして。インタセクト・コミュニケーションズの王超と申します。主な業務は越境ECのプロモーションを担当していまして、普段はモールの運営なども弊社の中国の拠点と連携しながら日々業務を進めております。

―越境ECの業務内容について、お聞かせください

片倉氏:クライアント様向けには、東京オフィスで対応をさせていただいております。運営の方向性やプロモーション施策の作成等は日本語で対応しております。一方でモールの運用全般については、中国拠点で対応をさせていただいております。例えば、カスタムサポートや商品の中国税関への報告、商品ページの作成や画像編集などの業務が含まれます。商品は日本から発送しており、ダイレクトに消費者に届きます。

―京都市における京都中央信用金庫との連携による施策についてお聞かせください。どのような経緯で始まった取り組みなのでしょうか

片倉氏:元々はコロナ禍で地方に対する支援はどのようなことが出来るのかを考えたことにきっかけになります。地方のメーカー様が取り扱われている商品で、中国にまだ流通していない商品をブランディングしようとして、なかなか上手く出来ずに困ったとき、地方の中小企業はどこに相談するのであろうか?と思い、地方銀行や信用金庫などの地域金融機関であろうと考えたことがそもそものきっかけです。

また、これまで金融機関が取引先に対してサポートしていなかったことを新たに行うことにより、コロナ禍で落ち込んだ地域産業に対して何かしらの支援をすることが出来るのではないかと思い、全国の地方金融機関に対してアプローチを開始しました。その結果、京都中央金庫様と提携をさせていただき、現在に至るまで累計で155社の地域企業との連携をしています。現時点では、弊社がWeChat上にミニプログラムで開設したオンラインショッピングモールに約150点の商品を掲載しています。

―その中でどのような商品が一番売れているのでしょうか?

王氏:抹茶の焼き菓子が一番売れています。日本らしさ、京都らしさがあるものが売れている傾向があります。この商品は、京都駅の売店では売れ筋商品として人気を博してはいるものの、今までは中国の方に全く知られていなかったですし、このような形のお菓子がもともと中国にはありませんでした。抹茶=京都=日本みたいなイメージが強くついおり、抹茶のお菓子だとわかりやすく、おいしそうと感じられて購入されているかと思います。実際に買って食べてみたらおいしかった、あるいは自分の友達に紹介をする、というようなことをきっかけにリピート購入をしていただいているお客様もいらっしゃいます。

―商品の販売方法について、お聞かせください

王氏:基本的にはWeChatのミニプログラムで販売しています。WeChatは中国では誰でもほぼ毎日使っているようなアプリです。月に2~3回、ライブコマースによるプロモーションをしていて、実際に商品をお見せしてご紹介をしています。1回のライブでは、30点~40点の商品をご紹介していています。

また、KOL(インフルエンサー)の方に、各自の得意としているSNSなどのプラットフォームを通して、ファンに向けて商品のご紹介をいただいておりますし、実際に京都の現地にお招きして、ロケをしてご紹介をいただくこともあります。

2020年には、中国で570万のフォロワーを持つKOLの方に京都にお越しいただいて、祇園祭実際に祇園祭を楽しんでいただいたりもしながら、私たちが取り扱っている京都の産品をライブ配信するというような取り組みも行っています。

片倉氏:中国にいらっしゃるお客様に、京都から日本の今の状況をお知らせながら商品をご紹介していくという取り組みは、大きな反響を呼び、日本のテレビ番組でも取り上げていただきました。

―中国のお客様の意外な反応や、何か驚かれたことはありますか

王氏:ふりかけでしょうか。中国にはふりかけのような、乾いている粉末をご飯にかけて食べるという食文化はありません。KOLの方が、京都錦市場にある地元で有名なゴマ専門店の企業さんがだしたふりかけがとあるKOLのご紹介によってバズっており、売れ筋をまずは食べてみておいしかったというのが感想です。元々中国にないものでもそれなりにアレンジして頂いたものをお客様に人気な商品の一つですね。そのほかに、予想外な売れ行きを見せているのが梅酒です。梅野産地である京都城陽市で唯一梅酒を作っている酒蔵で、城州白という品種で作った梅酒があるのですが、中国の方から大変好評です。

女性の方からも好評で、今まで果実酒を飲んだことのないお客様も一度飲まれるととても飲みやすいことから、女子会や旧正月など家族が集まるような場で親戚と一緒に飲んだりもするというようなお声も頂きました。

片倉氏:我々がライブ配信やKOLを活用する理由は、文化習慣が全然違うと日本人にとって当たり前であっても、中国人にとってはそうではないということがあり、そこに隠れた新しい需要やビジネスチャンスがあるということへの気づきをいただくことができるということです。
中国人の王や、中国在住経験のある日本人社員が、中国のお客様に対して、現地の方の食文化に合わせて、紹介の仕方を工夫しながらできるところが、我々の強みです。

京都での成功を受けて、現在私たちはWeChat上で、地域の中小企業の商品を中国の消費者にお届けする越境ECモール 「日本優選館」を運営しています。
ここでは、石川県金沢信用金庫様、北海道函館市、山口県萩市などと提携をしています。このようなモールを一から構築をするとなると大変な費用がかかります。ライトな感じでスタートできるといったところで、各地域による「あいのり型のモール」として、ご好評いただいております。

自治体様は、数百万円のご予算で構築でき、地域企業を支援することが出来るので、開始することができるので喜んでいただいております。
自治体に限らず、地域の金融機関や、DMOなどとの連携を深めていければと考えております。

―地域商品を中国の消費者に購入いただくための成功の秘訣についてお聞かせください

片倉氏:絶対に欠かせないのは情報発信をし続けることです。そのためにはプロモーションをしっかりと責任を持って請け負ってくれるビジネスパートナーが必要です。
越境ECに取り組むとき、ショッピングモールを作ってくれる事業者、プロモーションをしてくれる事業者、物流を担ってくれる事業者と、分散化してしまいがちですが、出来るだけこれらをワンストップで対応してくれるパートナーを選ばれた方が、効率的です。

その中で弊社は全てをワンストップでご提供することが出来ることを、強みにしています。

―自治体や地域経済の活性化に取り組んでいる方に向けて、なにかメッセージがあればお聞かせください

片倉氏:コロナ禍を経て業績が低迷している地域の中小企業は多いのではないかと思います。地域経済の活性化を支援するための手段として、ふるさと納税やクラウドファンディングなどが近年注目されてきましたが、新たな手法として、越境ECというものがもっと注目されるべきではないかと思っております。