大分県佐伯市が観光振興を目的とした「旅先納税®」を導入
「旅先納税®」を活用した観光振興の新たな取り組み
大分県佐伯市は、デジタル技術を活用して地域の課題解決を図る株式会社ギフティの「e街プラットフォーム®」を採用し、大分県内初となる「旅先納税®」を導入した。これにより、2025年10月3日より「旅先納税®」がスタートし、返礼品として電子商品券「さいきPay」の発行が開始された。本取り組みにより、観光を通じた地域経済の活性化を目指す。なお、本システム導入自治体数は全国で110自治体(2025年10月3日時点)に達している。
佐伯市の観光への取り組み
佐伯市は農林水産業が盛んな地域であり、温暖な気候を活かした特別栽培米〈減農薬栽培〉のほか、イチゴ、ナス、ニラ、ミカンなど多彩な農産物が生産されている。水産業においては県内生産量の約6.5割を占め、特にブリ類やヒラメの養殖は県全体の約8割を担う。
こうした豊富な食資源を背景に、名物の寿司を「世界一・佐伯寿司」と名付けたのをはじめ食文化を軸に観光誘致を推進しており、近隣の別府市や由布市、宮崎県北地域と連携した食観光ルートの開発にも注力している。
このような背景から、佐伯市は地域の魅力をさらに発信するべく、「旅先納税®」を導入し、体験型の返礼品を提供するに至った。
「旅先納税®」の仕組み
佐伯市が導入する「旅先納税®」は、旅行前や旅行中にスマートフォンから簡単に寄附ができる仕組みである。寄附者は寄附額の30%分に相当する電子商品券「さいきPay」を即時に受け取り、市内加盟店で利用可能となる。寄附は「旅先納税®公式ホームページ」または加盟店のPOPに掲示された二次元コードを読み取ることで行うことができ、クレジットカード決済に対応している。
「さいきPay」は、寄附額に応じて1,500円から30,000円までの全5券種が用意され、市内32店舗(2025年10月3日時点)で利用可能である。利用時にはアプリのダウンロードは不要で、会計時に1円単位で使用できる。決済方法は「二次元コード認証(静的MPM方式)」と「giftee STAMP」の2種類があり、いずれも決済完了時に利用済み処理(消し込み)が行われることで不正利用を防止する仕組みとなっている。
寄附金の使途と地域貢献
「旅先納税®」による寄附金は、佐伯市の地域資源を守り育てるための多様な事業に活用される。具体的には、ユネスコエコパークに登録された祖母・傾・大崩山系の自然環境保全、子どもの医療費助成、地場産業支援、安心して暮らせるまちづくり、地域活力の創出などが挙げられる。
これにより、観光と地域経済の好循環を生み出し、持続可能なまちづくりを推進することが期待される。
佐伯市「旅先納税®」および「さいきPay」概要
特設サイト: https://saiki-tabisaki.com
寄附サイト: https://saiki.tabisaki.gift
提供開始日: 2025年10月3日(金)
導入目的: 観光・経済活性化
決済方法: クレジットカード決済(VISA、Mastercard、JCB、American Express、Diners Club)
利用期限: 寄附日から365日間
加盟店数: 市内32店舗(2025年10月3日時点)
寄附金額と返礼品の対応は以下の通りである。
5,000円:1,500円分の「さいきPay」
10,000円:3,000円分の「さいきPay」
30,000円:9,000円分の「さいきPay」
50,000円:15,000円分の「さいきPay」
100,000円:30,000円分の「さいきPay」
今後の展望
佐伯市は今回の「旅先納税®」導入を契機として、観光誘客と地域経済の好循環をさらに強化していく考えである。地域の食・自然・文化といった資源を最大限に活かし、旅行者が地域とつながる新たな体験を創出することで、デジタルを活用した地方創生の先進モデルとしての発展を目指す。
(執筆:デジタル行政 編集部)