デジタル行政について

自治体が自立・自走していく武器
トラストバンクがLoGoシリーズに込める戦略と可能性

自治体が自立・自走していく武器<br>トラストバンクがLoGoシリーズに込める戦略と可能性

ふるさと納税事業で有名な株式会社トラストバンクが、2019年11月に自治体向けビジネスチャットツール「LoGoチャット」と、2020年3月には、行政申請・アンケートフォーム作成ツール「LoGoフォーム」をそれぞれリリースした。
「Local Government」の頭文字を取っているLoGoシリーズは、総合行政ネットワーク「LGWAN」とインターネットの両方で使える行政周りのデジタルツールシリーズだ。

【LogoチャットとLogoフォームのイメージ】


出典:株式会社トラストバンク

 

それぞれトライアル導入期間にあり、「LoGoチャット」はすでに549自治体で、「LoGoフォーム」は129自治体で利用が始まっている。

効率的なコミュニケーションという課題

庁内、他自治体、民間事業者がコミュニケーションを取るために開発された自治体向けクラウド型ビジネスチャットツールが「LoGoチャット」である。

LGWAN環境の職員同士はもちろんのこと、モバイルアプリを使ってインターネット環境で働いている職員ともやり取りをすることができ、自治体と外部の民間事業者が連絡を取り合う際にも使われている。自治体が事業者とやり取りする時は、自治体からゲストアカウントをもらう。

使い方は、一般的なビジネスチャットツールに似ている。しかし、なぜ今行政向けチャットツールを開発したのか。

トラストバンクが自治体にどんなツールを求めているかヒアリング調査を行ったなかで、様々な要望が出たが、共通課題はコミュニケーションだった。これまでは電話、メール、Faxなどが自治体職員の主なコミュニケーションツールであった。これはしばしば折り返しの応酬になるし、決裁の文化があるので、上司が出張に行ってしまうと仕事が止まってしまう。そこで、チャットというツールが有効になると考えた。

インターネット環境からLGWANにファイルを添付する際には、ウイルスやマルウェアの可能性を取り除く無害化処理というものをしなければならない。LoGoチャット上ではファイル送信時に簡単に無害化処理をしてくれる。

モバイルアプリとして利用できるため、建設現場や災害現場など、外にいる人も活用できる。

スケジュールの調整やタスクの管理といったこともアプリ内で可能にしている。
会議、移動、日程調整などに関わる部分で効率的なコミュニケーションができるようになる。全国のLoGoチャットを使っている約1300名の職員にアンケートを取った結果、平均1人あたり1日24.6分、年間で98時間あまり業務が削減できる、という効果が見られた。

ペーパーレスにも大きく貢献しており、職員1人あたり年間478枚の紙の使用を削減できた。

LoGoチャットにはユーザーグループという機能がある。現在およそ100のトークテーマが上がっていて、異なる自治体の同じ部署の職員がそこで情報交換をしており、全国でおよそ4000名がこのトークルームに参加している。「こういう時って、どのように対応しましたか」など質問を打つと、誰かが返事を返してくれる。

とくにコロナ禍では、様々なイレギュラーな対応が発生したので意見交換の場はとても重宝された。都道府県や中央省庁に確認していると時間がかかっていたが、LoGoチャットを使えば他の自治体のノウハウを即座に導入することができる。

10万円の給付金配布の申請業務が煩雑であるといった批判が出たときも、ある自治体の情報部門の職員がデータを効率的に処理するエクセルのマクロを作り、LoGoチャット上で共有した。

保育所・学校、移住・定住、コロナ対策など、トークテーマごとにチャットルームが分かれており、自然と同じ異なる自治体の同じ部署の人が集まってくる。

技術や知識がなくても自治体職員が自分でフォームづくり

トラストバンクがリリースしたもうひとつのツールが「LoGoフォーム」である。これはLGWAN対応の自治体向け申し込み・アンケートフォームであり、あらゆる行政サービスおよび行政業務の紙の帳票や手続きをデジタル化する統合プラットフォームである。

こちらは役所が住民と接する窓口業務を電子化するもので、フォームは原則的に自治体職員によって作られ、簡単にアンケートや申請・申込みの作成・集計を一元管理できる。

高度なITの知識や技術がなくても、すでに用意されているテンプレートを組み合わせ、自由にカスタマイズする方法でフォームが作成できる。

行政手続き申請フォームを提供するベンダーは他にも存在するが、既にできたフォームを提供するという形式が多いなか、トラストバンクは自治体職員がフォームを自分で作る、というスタイルにこだわる。背景には、ふるさと納税で各自治体が自分たちでページを作成したことが成功につながったという実感がある。

「コードを書かなくてもパーツを組み合わせるだけでフォームを簡単に作ることができます。エクセルと同じくらい使用は簡単です」とトラストバンク取締役の木澤真澄氏は語る。

トラストバンク取締役 木澤真澄

LoGoフォームでも自治体間のアイデアの交換や共有が行われる。A市が作ったフォームのテンプレートを、A市が公開を許可した場合、そのフォームをB市でも使うことができる。そのようにして他の自治体からもらったフォームを、さらに自己流にカスタマイズすることもできる。

LoGoシリーズは続く

LoGoチャットを使いながら、電子申請フォームの部分は他社の技術を使うことも可能だ。しかし、トラストバンクでは今後、LoGoフォームとLoGoチャットの連携できる部分や中で情報の共有できる部分を拡大し、両方一緒に使いたいと自治体が思うようにしていきたいと考えている。

LoGoフォーム、LoGoチャットに限らず、トラストバンクは今後もLoGoシリーズのツールをリリースしていく予定である。現在、お金周りのデジタル化に関する機能を開発中である。たとえば、税金の支払い、イベントの課金、住民票の写しを取る時の支払いなどをキャッシュレス化していけると考えている。

(聞き手:デジタル行政 編集部 長野 光)