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NECソリューションイノベータ「窓口改善ソリューション」 宝塚市が実証実験の延長を発表

NECソリューションイノベータ「窓口改善ソリューション」 宝塚市が実証実験の延長を発表

兵庫県宝塚市は、NECソリューションイノベータがデジタル化による窓口の利便性向上やコロナウイルス感染拡大防止、職員の事務負担軽減を目的に開発した「窓口改善ソリューション」の実証実験の延長を発表した。

(執筆:デジタル行政 編集部 長野 光)

この技術は、住所変更の届出や住民票の写しなど、主に市民課が手掛ける引っ越しにかかわる手続き時に、住民がスマホなどで必要事項を記入し、スクリーンに表示される二次元バーコードを来庁時にQRコーダーにかざすと、事前にスマホなどで入力した情報が入った申請書が印刷され、そこに署名して届出を行う、というもの。

QRコードで取り込んだ後、デジタル化されたデータを、通常では自治体の担当者が住民記録システムに手入力するが、それを代わりにRPA(ソフトウェアロボット)が代行する。

出典:NECソリューションイノベータ株式会社

自分のスマホで申請書の内容を入力できるので、来庁時に共有物に触る必要がなく、滞在時間も削減でき、コロナウイルス感染のリスクを低減できる。職員にとっても、入力業務を効率化できるので、人が入力するよりも作業が早くて正確になる 。

宝塚市は、2020年の6月から9月にかけて「窓口改善ソリューション」を業務に取り入れる実証実験を行った。本格導入を検討するにあたり、1年を通して運用面の課題を洗い出すため、今年10月末までの実証実験の延長が決まった。現在は、本格導入に向けて準備を進めている。

このシステムを導入することで、紙の書類に手書きするのが当たり前という考えから、スマホで作成するという新しいスタイルへの変化と、「書かない」ことに対する利用者の高い満足度を実感した。このシステムの特徴である Web上での一問一答形式で必要項目を入力していくため、UIがわかりやすいこと、加えて、アプリのインストールや会員登録などの手間が不要なこと が、利用者にとっても使いやすく、高い満足度につながっているという。

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宝塚市 市民交流部 市民生活室 窓口サービス課 係長 平山睦美

「実証実験を通じて、申請プロセスのスタイルを変化させ、利用者の満足をえられた経験は、職員のモチベーション向上につながり、職員の改革意識に働きかけることになり、キャッシュレスやスマート申請の導入、EBPMなどといったその後の取組にもつながっています」と 宝塚市 企画経営部 市民生活室 窓口サービス課 係長の平山睦美は語る 。

宝塚市が公開した報告書によれば、今年度4月20日の時点で977件の利用があった。市役所のアンケート調査によれば、利用者の96%が使った感想を「良い」と回答し、98%が「次も使いたい」と回答した。

出典:宝塚市

「一問一答形式で入力するため、記入漏れや記入ミスが少なく、職員が記入の説明をする必要もなくなり、受付時間が削減されています」と平山は効果を語る。

効果測定の検証では、申請書の記載時間と受付時間 を合わせて、導入後におよそ10分の削減を達成した。

NECソリューションイノベータは、宝塚市の他に茨城県つくば市、岡山県岡山市、神奈川県相模原市など、複数の自治体と実証実験を行っている。静岡県浜松市で行われた実証では、ロボットによる入力で36.2%、全体で18.7%の業務短縮効果が認められた。

既に神奈川県藤沢市は導入し、2月より稼働している。

「現状の仕組みは事前申請作成サービスですが、オンライン申請への対応も視野に入れて検討しています」と営業統括本部 パブリック営業部 主任の栗田寛之は語る。

NECソリューションイノベータ 営業統括本部 パブリック営業部 主任 栗田寛之

NECソリューションイノベータは自治体の住民記録システムの開発や運用を手掛けてきた。クライアントである自治体の要望からヒントを得て「窓口改善ソリューション」を開発した。導入後、機能強化、バージョンアップを経て提供サービスをオンライン申請へと発展させたい考えだ。

NECソリューションイノベータは、今年2月に、申請データをQRコード化して、来庁時に取り込み、申請書を印刷して、機械連携で情報の入力を行う、という一連のプロセスで特許を取得した(特許第6840699号)。同社は、知財のライセンスについては相談可能としている。