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全国初!都城市、池田宜永市長がCAIOに就任し自治体内AI活用の責任体制を構築[ニュース]

全国初!都城市、池田宜永市長がCAIOに就任し自治体内AI活用の責任体制を構築[ニュース]

宮崎県都城市は、生成AIをはじめとする人工知能の活用を市全体で推進するため、市長自らをCAIO(最高AI責任者)に任命し、あわせて外部の専門家をCAIO補佐官として迎える新たな体制を整備した。

CAIOとは「Chief Artificial Intelligence Officer」の略で、組織におけるAI活用の方針決定、推進、管理に責任を持つ役職である。自治体の首長がこの役割を担う体制は全国でも類を見ないものであり、事実上全国初といえよう。これにより、都城市におけるAIの利活用が市政の重要な柱の一つであることが明確に示された。

これまでも都城市では、デジタル技術の導入に積極的に取り組んできており、デジタル活用における先進都市として全国的に有名である。2025年7月に開催された日本DX大賞で、3年連続大賞を受賞したことも記憶に新しい。

2019年には「デジタル化推進宣言」を発表し、2021年からは池田 宜永市長がCDO(最高デジタル責任者)を兼ねるかたちで、デジタル施策の陣頭指揮を執ってきた。その中で注力されたのが、生成AIを活用した庁内業務の効率化である。

2023年には、都城市が独自に開発した生成AIプラットフォーム「zevo(ゼヴォ)」を庁内ネットワーク(LGWAN)上で運用開始し、住民への通知文の作成や文書要約、報告資料の草案作成などに活用してきた。地方自治体における生成AIの本格運用としては全国的にも先駆的な事例であり、これにより職員の業務負担軽減とサービス品質の向上を図ってきた。

今回の体制整備では、AI推進の最上位責任者として池田市長がCAIOを兼任し、市のAI戦略の立案から活用の具体化までを統括することとされた。また、CAIOを技術的に支援する役割として、新たにCAIO補佐官が設置され、同職にはシフトプラス株式会社取締役の杉谷 良氏が就任した。

杉谷氏は、都城市が導入した生成AI「zevo」の開発責任者であり、民間におけるAI技術の知見を市政運営に反映させる役割を担う。市では今後、杉谷氏の技術支援を受けながら、AIの利活用領域を庁内全体に広げていく方針である。

併せて都城市は、これまで運用してきた「生成AI活用規程」を見直し、より広範なAI技術全体を対象とする「AI活用規程」へと改正する手続きを進めている。新たな規程では、生成AIに限らず、画像認識、データ分析、自動応答なども含めたAI全般の活用における手続きや留意点を明文化することで、統一的かつ責任ある運用が可能となる体制を目指す。

このような体制の整備は、国においても注目されている。総務省の「自治体におけるAIの利用に関するワーキンググループ」報告書においては、AI活用の推進にあたり、国だけでなく自治体においてもCAIOの設置が考えられると記載されており、都城市の動きはこの国の指針と一致するものとなっている。市は、組織的なAI推進とリスク管理を両立させるため、責任体制の明確化を図ることを重視している。

今後、市ではCAIOを中心に、各部署におけるAIの活用支援、職員への利用研修、外部専門家との連携、そして住民サービスの向上に向けた技術導入の検討を進めていく方針である。AIを行政に導入するにあたっては、業務効率の向上だけでなく、誤情報の排除や個人情報保護などへの配慮も必要であり、都城市ではその両面に対応できる運用体制の整備を目指している。

都城市の今回の取り組みは、AIを自治体業務に戦略的に取り入れるうえで、責任体制と実行力を備えた組織の在り方を提示するものである。市長のリーダーシップの下、民間の専門家と連携しつつ、庁内全体でAIを活用していく体制は、他自治体におけるAI活用の先行事例として注目されることが予想される。

(執筆:デジタル行政 編集部 野下 智之)