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7つの自治体が「メタバース役所」の実証事業で有効性を確認[ニュース]

7つの自治体が「メタバース役所」の実証事業で有効性を確認[ニュース]

全国7つの自治体が、AI相談員を活用した「メタバース役所×離コンパス」の実証事業において、その有効性を確認した。利用者の約85%が、メタバース役所内でAI相談員との対話が自然であったと評価している。

今回の実証事業について

この実証事業は、2025年3月、3次元の仮想空間「メタバース役所」上で、大日本印刷株式会社(DNP)、日本加除出版株式会社、株式会社Hexabase(ヘキサベース)により実施されたものである。「メタバース役所」には、日本加除出版が提供する法律支援サービス「離コンパス」のAI相談員が配置され、生活者の悩みに対応した。

自治体は、本事業を通じて、行政サービスにおけるAI活用の可能性、特にデジタルトランスフォーメーション(DX)推進の観点から、その効果を確認した。

実際、参加した生活者からは、「匿名で24時間利用できる」「AIだから気軽に相談でき、心の不安が軽減された」といった意見が多数寄せられ、AI相談員に対するニーズの高さが明らかとなった。

また、自治体は、本実証事業により、住民サービスのアクセシビリティ向上および職員の業務負荷軽減といった課題に対し、AI相談員が有効な手段となり得ることを確認した。特に、相談内容としては夫婦関係や子育て、職場環境など幅広く、中でも離婚に関する相談が多く寄せられた。

調査概要

参加対象 : 国内の7つの自治体
実証場所 : DNPが運用するバーチャル空間「メタバース役所」
実施期間 : 2025年3月11日~3月25日(※土・日曜日も実施)
参加者・相談数:105名の生活者がメタバース役所に来場/75件の具体的な相談を寄せる
利用者属性 : 女性約55%・男性約45%、30代約20%・40代約55%・50代約20%

実証は、2025年3月11日から25日まで、DNPが運用する「メタバース役所」内で行われ、全国7つの自治体が参加した。来場者は105名、相談件数は75件にのぼり、利用時間帯も平日の昼間に限らず、早朝・夕方以降・休日と多岐にわたった。

属性としては女性が約55%、男性が約45%、年代は40代が最多であった。

アンケート結果

アンケートでは、約85%の利用者がAIとの対話に自然さを感じ、約65%が心理的負担の軽減を実感した。自治体は、「登録不要」「匿名性」「24時間対応」といった要素が住民にとって利用しやすさにつながっていることを確認している。加えて、AI相談員によるカウンセリングは、住民にとって実際の窓口とは異なる新たな価値を提供していると分析した。

アンケート結果からは、相談対応の幅を広げること、より具体的な情報提供や個別対応への期待が示され、今後の改善点として把握されている。

アンケートの抜粋

画像はすべて大日本印刷株式会社(DNP)のWebサイトより引用
https://www.dnp.co.jp/news/detail/20176724_1587.html

各自治体の声

自治体は今回の事業を通じて、メタバース空間におけるAI相談員サービスの拡充が、住民にとってアクセスしやすい新たな相談窓口を提供するとともに、自治体にとっても住民の多様な声を拾い上げる貴重な接点となることを実感した。AIの活用は、単純な問い合わせ対応から専門的な相談まで広がる可能性を有しており、住民サービスのさらなる向上と職員の負担軽減につながると認識している。

今後の展開

今後、自治体はDNP、日本加除出版、Hexabaseと連携し、実証結果を踏まえたAI相談員の機能改善と対応範囲の拡張を図る方針である。家庭や離婚に限らず、生活における多様な悩みに応える体制を整備するとともに、専門性が求められる課題については、AIから職員への円滑な引き継ぎによる“ハイブリッド”な相談対応を進めていく。行政のDXを一層推進し、誰一人取り残さない住民サービスの実現を目指していく考えである。

(執筆:デジタル行政 編集部)