バーチャル空間で豊中市の魅力を発信!
メタバースとよなかで楽しみながらデジタル体験[インタビュー]

バーチャル空間で豊中市の魅力を発信!<br>メタバースとよなかで楽しみながらデジタル体験[インタビュー]

大阪府豊中市が「メタバースとよなか」というバーチャル空間でのデジタル体験を通じて、都市の魅力を発信するプロジェクトを開始した。
行政が行う最新技術を駆使した地域活性化プロジェクトとして注目を集めるこの取り組みについて、「メタバースとよなか」を担当する都市活力部 魅力文化創造課の皆様にお話を伺った。

(聞き手:デジタル行政 編集部 町田 貢輝)

2025年開催の大阪・関西万博に向けてバーチャル空間でも豊中市をアピール

――大阪府豊中市についてご紹介をお願いします。

豊中市は、大阪府の北西に位置する都市です。大阪市、堺市、東大阪市に次いで、府内で4番目に人口が多い都市(約40万人)であり、中核市にも指定されています。豊中市には大阪国際空港がありまして、大阪観光の玄関口として、世界中から観光客が訪れます。また、豊中市を流れる千里川では、着陸直前の飛行機を大迫力で見られるスポットがあり、多くのカメラマンに足を運んでいただいております。
その他にも、市内には数多くの公園があります。なかでも、大阪府営服部緑地は、バーベキューや乗馬などのアクティビティを楽しむことができ「日本の都市公園100選」にも選ばれています。
阪急電鉄や北大阪急行電鉄などの公共交通機関が充実しており、一般世帯・単身世帯いずれにも、住みやすく魅力的な町だと思います。

千里川河川敷から見られる飛行機着陸の様子。

――豊中市の魅力を「メタバースとよなか」というAR空間で発信していこうと考えたきっかけを教えてください。

一番のきっかけは、大阪・関西万博が2025年に開催されることですね。万博のテーマが「いのち輝く未来社会のデザイン」ということで、豊中市としても何か未来に向けた新しいことができないかと考えました。その結果、今後訪れるデジタル社会に向けて、市民の皆様にまずデジタルを体験していただく、馴染んでいただくことを目的に、メタバース(*1)空間を制作し、さまざまなデジタル体験ができる場を提供させていただきました。

(*1) インターネット上の仮想空間。ユーザーは自分自身の分身であるアバターを介して、さまざまなサービスを体験できる。

――「メタバースとよなか」ではどのようなバーチャル体験ができますか。

現在、「メタバースとよなか」には3つのエリアがございます。豊中市立文化芸術センターを中心とした中央エリア、服部緑地を中心とした東エリア、大阪国際空港を中心とした西エリアです。
中央エリアでは、子どもたちがアプリで作成した塗り絵や、豊中市で所蔵している美術品をデジタルで展示しています。
東エリアには、日本民家集落博物館や服部緑地乗馬センターがあります。古民家の縁側に座ったり、乗馬体験のVR動画も鑑賞できます。
西エリアでは、バーチャル空間で大阪国際空港に着陸する飛行機の様子を見られる場所を用意しました。子どもたちがデザインした模様の飛行機が飛び、着陸の様子をコックピットから見ることができるモニターをメタバース内に設置するなど、飛行機好きにとってはたまらない空間になっています。

ゆったりと美術品の鑑賞ができるのも、バーチャル空間ならでは。

――西エリアの大阪国際空港に行ってみましたが、飛行機が次々と飛んできて面白かったです!

ありがとうございます。1分おきに飛行機が来ますので、ぜひバーチャル空間で迫力満点の離着陸をお楽しみいただければと思います。

子どもだけでなく年長者も「バーチャルとよなか」に夢中!

「メタバースとよなか」チームメンバーの皆様。
真ん中は豊中市のシンボルキャラクター・マチカネくん。

――「メタバースとよなか」に遊びに来た方の年齢層を教えてください。

具体的に年齢層を調査した訳ではございませんが、老若男女問わず楽しんでいただいている印象です。「デジメタフェス」というオープニングイベントを、豊中市立文化芸術センターで開催したのですが、お子様連れのご家族の方々はもちろん、ご高齢の方々にもイベントに参加していただきました。会場ではVRゴーグルやタブレット端末を使って、「メタバースとよなか」を体験していただきましたが、ご高齢の方々もチャレンジしてくださいました。メタバースなどのデジタル体験は、子どもや若者向けという想定でしたが、興味・関心は、世代を問わずお持ちだということが今回わかりましたので、今後のコンテンツ運営にも活かしていきたいですね。

――「デジメタフェス」の来場者数を教えてください。

当日、直接会場にいらっしゃった方は合計289名でした。キーワードクエストという「メタバースとよなか」内のヒントを頼りに、当日会場に隠されたキーワードを見つけるというデジタルとリアルの融合型企画には、115名もの方がご参加くださいました。その他、当日メタバース内には、約1,200名の方がご来場くださいましたので、「メタバースとよなか」を広く知っていただくことができたイベントになったのではないかと思っております。

――学生ブースの盛り上がりはいかがでしたか。

非常に盛り上がっていたと思います。学生ブースには、大阪大学のコンピュータクラブ、大阪成蹊大学、HAL大阪の学生の皆さんにお声がけさせていただき、60名ほどがイベントに参加してくださいました。各団体の皆さんは、自作のゲームの展示・紹介をしてくださり、来場者の方々を楽しませておりました。私たちとしても学生の皆さんの技術力の高さに驚かされました。また、学生の皆さんも学生同士での交流を楽しみ、「メタバースとよなか」を制作したプロのクリエイターの皆さんに、次々質問をしていました。イベントを通して、熱心にデジタルの勉強をしている学生の皆さんと、つながりを持てたということは、豊中市としても非常に良かったと思います。

――「デジメタフェス」のようなイベントを今年度も開催していきたいですね。

そうですね。令和6年度については、まだ具体的な予定はありませんが、今後も現実と仮想空間を融合させたイベントは開催したいと考えています。
都市活力部魅力文化創造課としては、AR空間と豊中市内を融合させたデジタルスタンプラリーのような企画を検討しています。具体的な企画が進行してきた際には、市民の皆さんに向けてお知らせいたしますので、楽しみにお待ちください。

――「メタバースとよなか」の今後の展望を教えてください。

豊中市の魅力をより多く発信できるようにしていこうと思います。現在3つあるエリアで、できることを増やし、メタバース空間で楽しみながら、豊中市の良さを紹介していきたいです。
来年は大阪・関西万博もあり、世界的にも関西地域が注目されると思います。ですので、世界に向けて豊中市が持つ文化・芸術的な魅力も発信できればと思っています。
豊中市の魅力を多くの人に伝えるため、そして市民の皆さんがより便利に生活できるようにするために、私たちも積極的に取り組んでいきます。

――最後に、豊中市のデジタル化に関する取り組みについて教えてください。

豊中市は、デジタル技術を活用し、【暮らし・サービス】【学び・教育】【仕事・働き方】のあり方を根本から変革していく方針を示した『とよなかデジタル・ガバメント宣言』を発出し、さまざまな取り組みを進めています。行政手続きのオンライン化や、高齢者などへの情報格差解消セミナーなども開催し、市全体でデジタル化を進めることで、市民の皆さんがより便利で豊かな暮らしを送ることができる環境を整えています。
豊中市は、これからもデジタル推進を積極的に行い、市民の皆さんのニーズに応えるために努力を続けてまいります。

豊中市役所。役所内に設置されている「魅力発信コーナー」には、
豊中市名誉市民であるB’zのギタリスト・松本孝弘さんの手形が設置されている。