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愛知県蟹江町 堤幸彦監督の協力で「小酒井不木」原作のショートムービー第3弾『網膜現像』を製作 [ニュース]

愛知県蟹江町 堤幸彦監督の協力で「小酒井不木」原作のショートムービー第3弾『網膜現像』を製作 [ニュース]

愛知県蟹江町では、令和元年度から町出身の探偵小説家・小酒井不木(こさかい ふぼく・1890年(明治23年)~1929年(昭和4年))の顕彰と、作品の掘り起しによるシティプロモーション事業を実施している。

これまでに「死体蝋燭」(2020年)、「安死術」(2021年)と小酒井不木のミステリー作品をショートムービー化しており、今回はそれに続く第3弾として「網膜現像」を製作・公開した。前2作および本作は、いずれも堤幸彦監督の協力を得て、蟹江町内オールロケで撮影・製作した。

主演に市野倖大、出演者には前2作に続き、日本舞踊・五大流派の一つ「西川流」家元の西川千雅に加え、蟹江町出身の秋田卓郎と地元実力派俳優陣を配し、藤夏ゆかり(あいち戦国姫隊)、前作「安死術」にも出演した菅沼翔也も出演する。

また今回は、長年堤監督の下で演出を行い、国内映画祭でも多数の受賞歴を持つ藤原知之監督がメガホンを取り、前2作にも増してサスペンス感あふれる演出により緊迫感のある映像を作り出している。

本作品は、町公式HP(外部リンクYouTube)でも観ることができる。

「網膜現像」(YouTube):https://youtu.be/_o1megFtK54

蟹江町では、第1弾「死体蝋燭」、第2弾「安死術」、今回の第3弾「網膜現像」に続き、第4弾の制作も計画している。

【「網膜現像」のあらすじ】

とある女性の絞殺事件の捜査に当たっていた小原刑事は捜査に行き詰まり、突破口を見出すべく法医学者・鳥井博士に助力を求める。鳥井は悩みながらも以前より構想・研究していた未完成の新技術「網膜現像」を駆使して容疑者・山木と対峙する。その結果、事件はいったん解決したかに思われたが...。

【蟹江町と小酒井不木】

小酒井不木は蟹江町出身の医学者で、翻訳家、作家としても活躍し、江戸川乱歩、横溝正史らとも親交があった。日本最初のSF小説といわれる「人工心臓」をはじめ、多くの作品を世に残した日本探偵小説界の草分けといえる人物。38歳の若さで急逝したものの、大正から昭和初期のわずか5年あまりの間に140作以上もの作品を執筆し、高い評価を得た。しかし死後90年以上が経ち、その作品の多くはすでに絶版となってしまい、一部がパブリックドメインとしてインターネット上で読めるのみ、という状況になっている。近年、名古屋での江戸川乱歩・旧居跡記念碑の設置などを機に「江戸川乱歩を見出した男」として再評価の動きが高まっている。

蟹江町では、日本探偵小説黎明期の立役者でありながら100年の時代の波に埋もれつつある不木と、その作品群にスポットを当て、映画化・絶版作品の現代語訳化など作品の再評価・発信を行っている。今回は前2作「死体蝋燭(2019)」、「安死術(2020)」に引き続き、医学者でもあった不木ならではの、空想科学的な題材をテーマとした作品「網膜現像」をショートムービーとして作成。昭和4年に発表されたこの作品の着想・テーマは不木以降、太宰治や松本清張、手塚治虫など多くの後進作家たちにも取り上げられており、不木の先進性を表す象徴的な作品となっている。

「安死術」(本編約14分・YouTube):https://youtu.be/FN1W1ZgHXNs

「死体蝋燭」(本編約13分・YouTube):https://youtu.be/RXfDdGyeOHY

蟹江町HP: 町出身の探偵小説家「小酒井不木」の作品をショートムービー化

https://www.town.kanie.aichi.jp/soshiki/3/short-movies.html

【ショートムービー事業について】

小酒井不木は数々の名作を残したものの、現在、彼の名を耳にすることは少なくなっている。

不木は多くの作品を残しただけでなく、日本の探偵小説の黎明期において、その分野を定着させるべくさまざまな活動を行っており、親交が深かった江戸川乱歩や「金田一耕助」シリーズを生んだ横溝正史に対してミステリー作家としての道を示した人物である。

不木という名前の由来ともなった「初めは頭角を現さずに、後から頭角を現すのが本当の人間だ」という漢文の言葉のように、彼の作品を映像というかたちで現代に蘇らせ、その魅力を世間にPRしていこうという取り組みとして、ショートムービー事業を実施している。

(執筆:デジタル行政 編集部 與那嶺 俊)