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兵庫県多可町がペポルインボイスの事務処理に関する実証実験を実施

兵庫県多可町がペポルインボイスの事務処理に関する実証実験を実施

兵庫県多可町は、株式会社TKC(本社:宇都宮市/代表取締役社長:飯塚真規)と共同で実施した「ペポルインボイス」の活用に関する実証実験において、請求書の受領から支払いまでの事務処理がデジタルで完結する有効性を確認した。

この実証実験は2025年2月17日から3月21日まで行われ、多可町における実際の行政事務を想定しながら、ペポルネットワーク経由で送付された請求書(ペポルインボイス)の受領、財務会計システムへの取り込み、伝票への自動転記・起票、電子決裁、支払いに至るまでの一連の業務がシームレスに運用できるかを検証したものである。

多可町では、2023年からTKCの財務会計システムと電子請求書サービスの連携によって、請求書の受領から支払いまでの“デジタル完結”を目指した取り組みを進めてきた。今回の実証により、ペポルインボイスを活用した場合でも、これら一連の処理が問題なく実行できることを確認した。

ペポルは国際的な標準仕様に基づく仕組みであり、送信側・受信側ともに特定の電子請求書サービスに依存することなく請求書データのやり取りが可能となる。これにより、印刷・封入・投函といった業務負担や郵送コストが削減され、受領側においても手入力を省略してデータを直接財務会計システムへ連携できるなど、バックオフィス業務の効率化が大いに期待できる。

一方で、多可町は実務運用上における3つの課題を明らかにした。
・請求書の宛名を首長名(市長・町長など)とする必要がある点
・請求書を発行する事業者の代表者名・役職名の記載が求められる点
・ペポルIDに基づき送付された請求書を担当部署に振り分ける仕組みが必要となる点

これらの課題に対しては、日本版ペポル仕様(JP PINT)に定義された項目を適切に活用することで解決が可能であるとの結論に至った。ただし、各対応は請求書を発行する事業者側の設定によって行われるため、多可町としては今後、事前に事業者へ要件を提示し、適切な対応を依頼する必要があると判断している。

今回の検証により、多可町はペポルインボイスの本格運用に向けた知見を得るとともに、全国の市区町村におけるデジタルインボイス活用のモデルケースの一つとして、その有効性と対応可能性を示したものである。

(執筆:デジタル行政 編集部)