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高山市が進めるデジタル行政―AIカメラを使い飛騨高山で実証実験―【インタビュー後編】

高山市が進めるデジタル行政―AIカメラを使い飛騨高山で実証実験―【インタビュー後編】

岐阜県高山市のDXのお話を聞く全2回のインタビュー。
シリーズ後編では高山市のデジタル化について取り上げる。

(聞き手:デジタル行政 編集部 柏 海)

※ 前編はこちら(URL)。

AIカメラを使い観光客の属性を分析

―高山市は「飛騨高山」など観光地としても有名ですが、「ICTを活用したまちづくりに係る連携協力に関する協定」では、観光地での実証実験も進めているそうですね。実証実験ではどのような実験を行っているのでしょうか。

山田氏 本協定では、高山市、名古屋大学、NECソリューションイノベータ㈱の三者が連携しています。「ICTを活用したまちづくり」として、テーマは広く捉えていますが、まずは観光をテーマに実証実験を進めることになりました。

最初は名古屋大学とNECソリューションイノベータ㈱の協力のもと、人道橋を通過して対岸に足を運ぶ観光客がどれくらいいるか属性を含め観測を行いました。次年度は、駅前と古い町並の2か所での通年観測を始めています。今春には、市役所市民課窓口の混雑状況の可視化(URL)をFIWAREを活用した取組みとして始めています。さらにこの夏には、商店街・観光スポットなどにカメラを設置し、AIで車やバス、自転車や人など、「何が」「どの方向に」「どれだけの数が通過したか」を判別する観測を続けています。これらのデータをもとに、まずは今の状況を把握し、今後の予測や施策、検証などにつなげていくことが狙いです。

高山市は観光関連産業が主要な都市ではありますが、コロナ禍で非常に大きな打撃を受けています。今の実証実験で取れているサンプルは、人出の戻りが十分でなく決して多くはありませんが、withコロナの時代を迎えるにあたっては、今のデータを集積していくことが必ず役に立ってきます。

また、おくやみ窓口での取り組みも含め、データを集積し分析をしていく視点は、市民の皆さんからいただいている税金を正しく、かつ効果的・効率的に運用していくためにも大事にしていきたいと考えています。

今後は高山市と名古屋大学とNECソリューションイノベータ㈱の3者だけで検討を行うのではなく、商店街や飛騨・高山観光コンベンション協会など、地元関係者との意見交換も通じて取り組みを進めていければと思っています。先日、両者にヒアリングを行い、それぞれの課題を把握しました。データがある程度集積したタイミングで分析結果のフィードバックを行い、課題解決に向けた議論を進め、より良い「ICTを活用したまちづくり」を行っていきたいですね。

「高山市×名古屋大学×NECソリューションイノベータ連携協定「 ICTを活用したまちづくり 」」資料より(令和2年10月時点)

若手職員がDXで活躍できる仕組みを検討

―高山市のデジタル化への取り組みにつきまして、今後の予定についてご共有ください。

山田氏 令和7年(2025年)を目途に、行政手続きの大半をオンライン化していきたいと思っています。しかし、オンライン化手続きのためには条例制定を始め、業務の徹底した見直しも必要となるので、目の前のスモールステップから取り組んでいくことになるでしょう。

直近ではLoGoフォームを使い、商工分野での事業継続応援給付金をオンラインで受け付ける仕組みも整えましたが、こちらは事業継続給付金の申し込みをした人のうち、約3割の方に使っていただくことが出来ました。事業継続給付金の申請がスマホで来庁することなく出来るという手軽さは評価していただけたと思いますし、市役所での密を一定程度、回避できたのではないかと感じています。

このLoGoフォームについてはオプション機能も充実されていくので、新たな活用方法も検討しながら進めていきたいですね。幸いにも、LoGoフォームという単語が、庁内のいろんな部署で良く聞かれるようになり、庁内職員に対しての小規模アンケートや内部的な取りまとめにも気軽に使ってもらうなど、良い傾向も出てきました。

今後の課題としては、マイナンバーカードの普及も進めていきたいと思います。今の高山市の普及率は4割で、今年度中には5割に達するかもしれない状況です。加賀市のマイナンバーカードの普及率は約6割(令和3年3 月1 日現在)であり、この高い普及率のもと、電子申請可能な手続きを次々に増やしていく積極的な取組み姿勢が高山市にとっては一つの目標になっていますが、今後はマイナンバーカードを使った電子申請手続を次々と進めていくことも考えています。

―高山市DX推進計画も策定中とのことですが、現在はどのような形で取り組みをすすめているのでしょうか。

山田氏 DX推進部会を立ち上げ、現在は全5回を予定しているうち、4回が終了したところになりますが、外部の有機者からDXを進める上での注意点も伺いながら、策定を進めております。今後は更なるブラッシュアップを図っていきますが、秋を目途に岐阜県のDX計画の骨子が公表されるので、その計画とも調整も図りながら庁内でも合意形成を図り、対外的に公表が出来ればと思います。

また、高山市のDX計画策定においては若手職員25人のメンバーに積極的に会議へ参加いただいていますが、DXに対しての意識も高まっている状況です。この状況をDX計画の策定と同時に終わらせるのは非常に勿体ないので、若手を中心としてDX推進のリーダーになってもらえるような、計画策定後の仕組み作りも考えていきたいです。

DXは“人材育成”が大事

―デジタル化の取り組みを市として進めていくにあたり、組織や職員として、どのようなことを意識する必要がありますか。

山田氏 デジタル化が可能なことは次々と進めていきますが、デジタル化されたものをいかにうまく扱うかの姿勢や意識の醸成など、「人材育成」の視点が大事になります。

特に、自身の部署だけに留まらず、他の部署にも声をかけて取りまとめを行うような、おせっかいな職員が増えていくことが望まれます。他課のノウハウを吸収して知恵を絞ったり、話し合いの場を設けて関係課で議論をして調整したりなど。そのような気運や改善思考が、庁内全体で当たり前のように見られることが理想です。

ある意味アナログではありますが、最後は人である、という考え方は役所のどのような仕事にも通じるかと思います。そのためのきっかけづくりを私の部署で担当しており、今後さらに力を入れていきたいところですね。