デジタル行政について

自治体の要望に合わせ それぞれのDXを進める富士通Japan[インタビュー]

自治体の要望に合わせ それぞれのDXを進める富士通Japan[インタビュー]

日本国内での課題解決力強化を目指し、2020年に始動した富士通Japan株式会社が行政のデジタル化に向けた動きを加速している。

(執筆:デジタル行政 編集部 長野 光)

2019年5月、参議院本会議で与党などの賛成多数により、デジタル手続法が可決され、行政サービスをデジタルで完結していく方針が宣言された。しかし、自治体の窓口の業務は未だ紙の申請書による手続きがほとんどであり、異なる手続きをするたびに異なる申請書に同じ住民情報(基本4情報)を何度も記入するといった二度手間も悩ましい。

自治体職員の負担を減らし住民の申請時のストレスを軽減したい、といった問題意識から富士通Japanが開発したのがスマート窓口ソリューション「MICJETスマート窓口」である。

住民は、好きな時に好きな場所から、AIチャットボットの指示に従い、様々な申請書の手続きはスマホなどを通して行うことができる。

住民の入力する情報は三層に分かれて自治体のシステムに連携される。まずは、住民がスマホなどを通してWebコンシェルジュ(インターネットの手続き案内)にて情報を入力する。入力された情報は自治体職員が使う窓口サポートへとデータ連携され、そこからバックヤード業務システムへとさらにデータ連携される。住民が入力する情報には誤りがある可能性も考慮し、「窓口サポート」を介することでデータの補正を行い、字形やコードも含めた正しい情報を業務システムへ連携する。これにより、データ連携でのエラーを回避することができる。

プッシュ通知で住民が受けられるサービスを知らせる、一度入力した個人情報は別の申請時に再入力の必要がなくなる、また、混雑予測情報を確認することでピーク時の来庁を回避できる、など様々な機能やオプションが可能になっていく。

導入を開始した2つのケース

しかし、まだその全てを実現しているわけではない。現状では主に、転入、転出、転居といった処理件数の多い住民異動手続の部分的なオンライン化を通して試験的に導入を進めている。最終的な目標は、住民が自宅でオンラインを使い必要な申請を可能にすることだが、現状の法律の枠の中で、自治体の要望に合わせながら2つの異なる形態でシステムを提供している。

A市では、住民が来庁し、市役所に設置されたタブレットに情報を入力して申請手続きを始める。その場でQRコードが発行され、これを市役所のリーダーで読み取るとRPAが職員の代わりに入力されたデータをMICJET住記に書き写す。A市では2020年の9月よりこのシステムの運用を開始した。

B区では、住民が自宅でオンラインの申請手続きに関する情報入力を行うと、住民にQRコードが付与される。住民は来庁し、QRコードや在留カードを読み込ませ、窓口支援システムがMICJET住記と連携することで申請内容を補正し、申請情報をMICJET住記へと移す。窓口支援システムでは関連する手続案内、申請書作成も実施する。この結果、住民は申請書へ複数回基本4情報を記入する必要がない。B区では2021年の1月からこのシステムの運用を開始した。

職員の手間を増やしてはならない

「窓口サポートからバックヤードにある基幹系や部局系の情報と、いかにシームレスに連携できるかが重要なポイントになってくる」とソリューションビジネス本部行政第三ソリューションビジネス部の内田は語る。

ソリューションビジネス本部行政第三ソリューションビジネス部の内田

バックヤードのシステムとシームレスな相互連携を実現することで、住民は、オンライン申請時には必要最低限の情報に回答すればよいため、続き柄や世帯情報など記入情報の間違いも少なくなり、職員の確認もずっと楽になる。

また、来庁時にどんな資料を持っていく必要があるのかを来庁前に明らかにすることができ、どこの窓口に行けばいいのかも分かるため、住民が手続に迷うことがなくなる。

導入したA市の場合、利用した住民の8割以上が、手続きが簡単になった、と利便性を認めた。

導入の際の費用は、その自治体の人口の規模によって異なる。現在およそ10の自治体が導入を決めており、実証実験を決めている自治体もある。

「市民課の職員様の中には、既存の業務の他に新たにデジタルの申請への対応が加わることに不安を抱く方もいますが、そこを解消して導入した効果を職員様が感じられるようにしなければ導入は進まないと考えています」と同上部、シニアマネージャーの東條は語る。

ソリューションビジネス本部行政第三ソリューションビジネス部シニアマネージャーの東條