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PayPayとヤフーが語る、地域消費促進策DX化のメリットと効果

PayPayとヤフーが語る、地域消費促進策DX化のメリットと効果

国や地方自治体による様々な地域経済活性化施策の中で、代表的なものの一つが、域内消費に対する直接的な金銭の還元施策である。その代表的な手法は、地域クーポン券を活用したものであるが、コロナ禍において急速なデジタル化が進みつつある。

ヤフーが2020年11月上旬に開催した「Yahoo! JAPAN データカンファレンス2020」では、「PayPayを活用した地域活性とデータ分析事例」と題したセッションにおいて、PayPay株式会社 取締役 副社長執行役員COO 営業統括本部長 馬場一氏、同営業統括本部 営業本部 中四国ブロック ブロック長 田淵 治徳氏、ヤフー株式会社 データソリューション事業本部 パブリックエンゲージメント部 部長 大屋 誠氏が登壇。コロナ禍における全国自治体が取り組む地域経済対策における、PayPayの活用事例を紹介した。

導入自治体は45都道府県260市町村、総額260億円超

PayPayはサービス開始から2年、ユーザー数は3300万人に達した。利用できる店舗の数は、オフライン、オンライン合わせて260万か所に及んでいる。月々の決済回数は昨年同時期の5倍で1.6億回に達している。

自治体との取り組みとしては、例えば市役所内や、市営プールや動物園などへの導入が進んでいる。

税金や公共料金の支払いにおいてもPayPayの導入は広がっており、2020年11月現在で、全国467の自治体で、住民税・固定資産税・自動車税をPayPayで支払うことが可能とのこと。

馬場氏は、「このコロナ禍での地域経済活性の可能性について自治体と話をしている中で、PayPayを活用したキャンペーンを導入することで、地域の商業施設、個人商店の売上に貢献できるのではないかという話になった。」と地域活性におけるPayPayの活用の経緯について語り、「現在各地で展開を進めている。自治体に対しては、PayPay自らが提案をしに行くこともあれば、自治体から引き合いが来ることもある。」と現状の取り組みについて述べた。

同社は現在「町を応援プロジェクト」という取り組みをパッケージ化して自治体に提案。

これは地域住民がPayPayを地元のお店で使うと、一定割合のボーナスをキャッシュバックするという、経済復興キャンペーンの枠組みである。

このほか、マイナカードの導入促進をするためのキャンペーンなども行っており、自治体によっては国が補助している5000円に加えて自治体独自のキャッシュバック金額を設定するというような取り組みもなされているとのこと。

このような、自治体によるPayPayを活用したキャッシュバックキャンペーンは、全国45都道府県における260以上の市町村で導入が決まっており(すでに実施済のところも含む)、その予算規模は総額で260億円を超える規模に及ぶという。

その実績は膨大なデータとして蓄積されつつあるが、「これをヤフーのデータソリューションを使いしっかりと検証したうえで、今後の展開に活かしていきたいと考えている。」(馬場氏)とのことだ。

DX化で予算のより多くを地域住民に還元

馬場氏はまた、キャンペーンの一例として2020年8月に実施した岡山市の事例を紹介。同市では、PayPayを使えるお店で最大20%のキャッシュバックが得られるサマーキャンペーンを導入したという。これにより、「お寿司屋さんで普段は並を注文していたが、今回は特上を頼もう。」(馬場氏)というように、住民の買い物の回数のみならず1回あたりの買い物金額の増加も期待できることから、経済活性につながるとして導入が決まったという。

岡山のケースでは、県内でPayPayを導入している店舗全てが対象で、1000円を上限に、利用金額の20%が付与されるものであったとのことだ。

馬場氏によると、自治体ではこれまでの地域振興策では紙によるいわゆるプレミアム商品券を発行し、経済の活性化を図っていたが、利用可能店舗数の少なさや、印刷や準備を依頼する代理店手数料コストなどが課題とされてきた。

PayPayは加盟店舗数が多く、住民の方がどこに行っても買い物ができるというメリットがあり、現在は手数料がほぼ無償のPayPayに変えることで、コスト削減につながり、地域振興予算額のより多くを地域住民に還元することが出来るなどのメリットを強調。また、PayPayを導入したある地域では、キャンペーン前と後を比較すると、決済取引額が3倍に拡大した結果も披露した。

そして、このような施策の結果は、Yahoo! JAPANのデータソリューションを使った分析により、その後のより効果的・効率的な地域活性化策に向けた次の取り組みに生かされていくことができるという。

導入まで2カ月未満、岡山市のサマーキャンペーンの経緯と効果

続いてPayPay田淵氏とヤフー大屋氏による岡山市の事例紹介が行われた。

田淵氏はまず、岡山市で実施された「がんばろう岡山市!サマーキャンペーン」が実施された背景を解説。コロナ禍で市内の経済ダメージが大きく、迅速な経済対策を図りたいということで、PayPayを活用したキャンペーンの導入を決めたという。

今回のキャンペーンでは、8億円の予算が使われ、これを延べ26万人が岡山市内で参画した5900店舗で利用した。

実施に至るまでのスケジュールは、導入検討開始が今年6月上旬、キャンペーン開始が8月1日からであったとのことで、非常にスピーディーに実現された。このように早期に出来た理由として田淵氏は、「岡山市長はじめ、市の担当者が非常に迅速な対応をしたことや、岡山市内にもオフィスを持つPayPayとの密接なコミュニケーションが図れたこと」を挙げた。「現場の努力と、テクノロジーとが両輪になって想起の実現につながった」(大屋氏)ということであるという。

大屋氏は、このキャンペーンにおけるヤフーの役割について、「岡山市における決済データをPayPayがヤフーへと提供。ヤフーはこれをもとに、PayPayユーザーの多くが利用するヤフーのYahoo! JAPAN IDを使い、性別や年代、居住地などのでもグラフィック情報を追加して分析。PayPayおよびヤフーそれぞれのプライバシーポリシーに従い分析し、その結果を統計化した形で岡山市にレポートとして提供した。」と説明した。

また、データソリューションはヤフーのデータコンサルタントやアナリストが自治体ごとの担当としてつき、実際のどのような課題に対してデータを分析するのかという対応についても、体制を整えているという。

今回のキャンペーンの利用結果を実施前の7月のPayPay利用金額を100とした場合、8月は227%であったが、キャンペーン終了後の9月の利用金額は引き続き129%と高い水準にとどまったという。

これについて田淵氏は、「8月にPayPayを使っていただいた分の還元ボーナスが9月に入ってくるので、それを使っていただいた効果があったのと、このキャンペーンを通じてPayPayを使えるお店や生活者の方の両方が、増えたことが数値に現れていると考えている。」と解説した。

また、PayPayが利用された企業を規模別で分類し、中小企業における利用総額を見てみると、中小企業においても8月、9月は高い水準であったとのことであり、地元企業への還元が行き届いていることのこと。

また、利用者一人当たりの利用金額もまた、同様の傾向を示しており、キャンペーンにより利用者の購買意欲が高まったとのことだ。

(執筆:デジタル行政 編集部 長野 光)