自治体DXのキーパーソン「CIO補佐官」初のコミュニティ『CIO補佐官HUB』始動

自治体DXの推進において中核を担う存在であるCIO補佐官の制度に着目し、その連携と知見の共有を目的とした初のコミュニティ「CIO補佐官HUB」(略称:C-hub)が始動した。
2025年5月27日には、CIO補佐官が集い、対面での交流を行う「C-hub Meetup Vol.1」が開催される予定であり、総務省職員の参加も見込まれている。
また、2025年10月3日には、官民の関係者500名以上が集結する「GovTech Bridge Conference 2025」を予定しており、「CIO補佐官HUB」の活動を通じて、全国の自治体DX推進の機運を一層高めることが狙いである。

労働力不足や職員採用難といった課題が深刻化する中、持続可能な行政サービスの提供には、デジタル技術やAIを活用した業務効率化、ならびに限られた人的資源の最適活用が求められている。そのため、住民サービスの質を保ちつつ向上させる「自治体DX」の実現は、全国の自治体が取り組むべき喫緊の課題とされる。
このDXを支える重要な人材がCIO補佐官であり、CIO(情報統括責任者)を専門的知見から補佐し、情報戦略や業務改革の推進を担っている。しかし、多くの自治体においては、以下のような課題が存在している。
・専門外の課題への対応が困難であり、必要な知見や支援ネットワークが不足している。
・他自治体との情報共有が進まず、成功事例が属人化している。
・CIO補佐官制度の認知・理解が進んでおらず、導入自体が進まない自治体も多い。
こうした状況を打破するため、CIO補佐官が横断的に連携して悩みや成功事例を共有できる「CIO補佐官HUB」の設立を通じて、DXの加速を図る必要がある。
「CIO補佐官HUB」は、月1回の「C-hub Meetup」やオンラインでの交流を通じて、CIO補佐官が互いに知見を共有し、実務に活用できるよう設計されたものである。第1回Meetupのテーマは「CIO補佐官の理想の姿とは?」とされ、制度の再定義と実効性向上を図るディスカッションが予定されている。
この取り組みは、単なる知見共有にとどまらず、将来的には「GovTech Bridge Conference 2025」への連動も見据えており、民間企業との建設的な対話を促進し、行政DXの新たな展望を切り開くものと位置付けられている。
さらに、自治体や行政機関は、CIO補佐官制度の強化を通じて、労働力不足下においても行政サービスの質を維持・向上させる持続可能な体制を構築し、DXによる業務の合理化と人材の有効活用を図る。これにより、職員が本来注力すべき業務に集中できる環境を実現し、「埋蔵労働力資産」の発掘と活用にも貢献することが期待されている。
なお、本取り組みの主催者である株式会社うるるは、17年以上にわたり官公庁関連の中間支援を担っており、入札・落札データ活用やBPO事業を通じて、官民連携の実績を重ねてきた。また、同社副社長の桶山雄平氏は、徳島県小松島市において3期連続でCIO補佐官を務めた実績を持ち、現場に即した知見を活かした支援を継続している。
自治体や行政機関は今後、「CIO補佐官HUB」の活動を通じて、自治体DXにおける実務者同士のつながりを深化させ、全国的なDXの底上げを推進していく構えである。
(執筆:デジタル行政 編集部)