岩手県岩泉町でドローンを活用した新スマート物流の実証実験を実施

岩泉町は町内に本社を構える岩泉ホールディングスおよび岩泉自動車運輸とともに、株式会社エアロネクスト、株式会社NEXT DELIVERY、セイノーホールディングス株式会社と連携し、新スマート物流の実証実験を実施した。本実証実験は、岩泉町の地域課題解決を目的とし、2025年1月9日に報道関係者へ公開された。
実証実験の背景と目的

岩泉町は本州で最も広い面積を持ち、山間部に多くの小規模集落が点在する。そのため食料品や生活必需品のアクセスが困難な地域が多く、特に2015年時点での「買い物困難人口」の割合は40%を超え、全国平均(24.6%)を大きく上回っている。町中心部から各集落への移動も困難であり、例えば安家地区までは車で約40分(21.5km)、有芸地区までは約35分(18.4km)を要する。このような課題に対し、ドローン配送と陸送を組み合わせた新スマート物流の導入を検討し持続可能な地域社会の構築を目指す。
実証実験の内容

本実験ではドローンと共同配送管理システムを活用し、買い物困難地域の物流支援や災害時の物資輸送の可能性を検証した。
具体的には、岩泉ホールディングスの「岩泉ヨーグルト」や岩泉自動車運輸の宅配荷物(実証実験用)を混載し、NEXT DELIVERYが運航するエアロネクスト開発の物流専用ドローン「AirTruck」に搭載。旧安家小学校から松ケ沢公民館までの約4.2kmを約10分で配送した。その後、残りの荷物は陸送で各配送先へ届けられた。
住民の中には、2016年の台風10号の際に市街地との交通が半月間途絶えた経験を持つ者もおり、今回の実験について「こうしたサービスがあると非常に助かる」との声が上がった。
今後の展望
岩泉町は、ドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流「SkyHub®」の導入に向けた検討を継続する。地域住民への理解を深めながら、次世代物流技術を活用し、持続可能な物流網の構築を目指していく。
本実証実験は、「令和6年度岩手県中山間地域におけるスマート物流等の社会実装に向けた運用体制整備・実証実験等業務」として採択されている。
(執筆:デジタル行政 編集部)